各疾患症例（中医学弁証）

主訴：腰痛　70代　女性

初診日：2022年6月25日

【現病歴】

ご主人の介護中にご主人を支えようとして一緒に転倒。胸椎12番目をタンスで強打、骨折。コルセットをしながら介護を続けるが痛みが増していくばかりで改善しない。レントゲン診断では骨折完治している。しかし、強い痛みに耐えられないとの事で当院来院される。胸椎9番目から12番目が右に湾曲。胸椎12番に強い圧痛。

増悪因子　体を横にする時、起き上がる時。　動作を始める時

緩解因子　歩行時

その他の症状　大幅な体重減少、少し動いたら疲れる、耳鳴り、難聴、寝汗、足の冷え

八鋼弁証

裏（表証なし）　実（気滞血瘀、肝鬱気滞）　虚（肝腎陰虚）

臓腑経絡弁証　肝（慢性的ストレス、両舌辺めくれ、左太衝虚中実）

腎（寝汗、耳鳴り、難聴、骨粗鬆症、臍下不仁）、脾（食事量減少、食べ過ぎると胃痛、易疲労、体重減少）

＜治療方針＞

体重、食事量の減少が大きく、正気の弱りが強く見られる為、弱りである虚を補う方針を立てました。

【証　気滞血瘀＞肝腎陰虚】

【配穴と効果】

１診目から5診目　膈兪、気海兪　虚側

6診目　太衝、膈兪　虚側

【治療効果と考察】

１診目から治療ベットから起き上がる時に楽になった事を実感しておられました。膈兪によって陰血を補った事と、気海兪で気滞血瘀によって滞っていた経絡の滞りが改善したと考えました。　４診目からはコルセット無しで来院出来るようになられました。また、ベットの寝起きの動作も痛みがほぼなくなり、素早く起きれるようになって、とても楽になっていると喜んでおられました。

５診目からは体を仰向けに出来るようになり、腹部（胃土）の緊張を緩めて、胃腸の働きを補っていく事も加えていきました。まだ家事は休み休みしか続けられず、体力不足が大きいですが、今後は胃腸の働きを整えて、体力アップにつに繋げて行く事を目標としています。